日本の紙を使ったアート、電子工学の未来をけん引

折り紙は、柔軟性のある回路基板の作成という電子工学分野の新たな取り組みにひらめきを与えています。
Image: 写真:REUTERS/Eliseo Fernandez
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折った紙を切っていく折り紙の一種「切り紙」は、柔軟性のある電子回路の作成に取り組む研究者たちにひらめきを与えています。
この革新的な技術は、厳選されたポリマーとナノワイヤーを用いて、耐久性に優れながらも折り曲げることができる薄板状の電子材料を作り出すもので、柔軟な回路を必要とするスマート衣類や電子皮膚といった分野での活用が期待されます。
「タブレット端末やその他の電子機器に使用されるプリント回路基板などの従来の電子材料は、柔軟性に欠けています。このような材料は、曲線だらけの人間の体、特に動いているときには適していません」と、研究論文の主執筆者であり、ニューヨーク州立大学バッファロー校の機械・航空宇宙工学科で教鞭をとるShenqiang Ren教授。
「無駄のない美しい芸術『切り紙』の背景にあるデザインの原理について詳しく調べ、耐久性と伸縮性に優れた電気伝導体の開発にこの原理を応用しました」。Ren教授は、複雑な環境問題の解決に取り組む、当大学のRENEW Instituteのメンバーでもあります。
この研究には、テンプル大学の研究者の協力によりコンピュータを活用したモデリングが含まれるほか、ナノコンファインメント技術とひずみ技術(半導体製造において端末の性能を向上させるために使用する戦略)が使用されています。
切り紙の原理を利用しない場合、PthTFBとして知られるポリマーを電気伝導率を変えずに元の形から変形できる伸縮率は、最大6%。一方、切り紙の原理を利用すると、ポリマーの伸縮率は最大2,000%に達します。また切り紙の原理を利用した場合、PthTFBの電気伝導率は1,000倍も高まります。
この技術的進歩により、電子皮膚(人間の皮膚を模した非常に薄い電子材料。通常ロボットや医療分野で使用されます)、折り曲げ可能なディスプレイ画面、電子新聞などのさまざまな分野への応用が期待されますが、最も利用が見込まれる分野としてはスマート衣類が挙げられます。専門家によると、この市場は2024年までに40億ドルの規模に達すると予想されています。
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