Financial and Monetary Systems
「悪い円安」の裏に低成長・日本の現実、脱却は可能か
2021年の為替市場では「悪い円安」論が跋扈した。この際、「悪い」には二つの意味が混在していたように思う。一つは「日本の政治・経済への不信が円売りを強めている」という「日本回避」という意味での「悪い」だ。Ｇ7で最後尾の日本。2021年の日本の成長率は先進国でも圧倒的に劣後したが、それが円を手放す一因になったという解釈である。この可能性は確かに否めない。
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Energy Transition
急テンポの脱炭素政策と資源急騰、グリーンボンドから考える
世界経済のリスク要因から新型コロナウイルスの感染拡大が取り除かれたわけではないが、もはやそれは主役ではなく、感染拡大を起点として火が付いた供給制約、そしてこれに付随するインフレ高進がテーマである。こうした中、１０月１２日に欧州委員会は欧州復興基金の原資として１２０億ユーロ分の環境債（以下グリーンボンド）を発行したと発表した。
Economic Growth
広がる米欧との成長率格差、マネーの日本回避は23年まで継続か
内閣府が16日に発表した2021年4〜6月期国内総生産（GDP）は物価変動の影響を除いた実質ベース（季節調整値）で前期比プラス0.3％、年率換算では同1.3％だった。日本経済研究センターのまとめる「ESPフォーキャスト」における予想中央値（前期比・年率プラス0.66％）も上回っており、仕上がり自体は「強め」と評価すべき内容である。
Health and Healthcare Systems
ワクチン政策の巧拙が通貨価値に影響与える年に
2021年も為替市場、いや金融市場全体のテーマが新型コロナウイルスの感染状況にあることは論を待たず、そのかぎを握っているのがワクチン供給の多寡であることは周知の通りである。欧州では「ワクチン・ナショナリズム」とも呼ばれる動きが注目を集め始めている。3月25日の欧州理事会（EU首脳会議）では年初から注目を集めていたワクチン輸出許可制度が、加盟国間で合意を得ていることが強調された。